ビジネスチャットツールの中で比較的メジャーな2つ、SlackとTeamsを社内で使っている。この2つは似ているようでいて、使ってみるとかなり違いがある。社内でも使い分けに悩むという声が上がっているので、違いをまとめてみようと思う。
まとめ
Teamsはタスクフォースを作るツール。事前に決めたメンバーの中で、会話もファイルもすべてを共有する。
Slackは個人単位の即席コラボレーションを作るツール。話題ごとにメンバーが変わり、別部署の人が会話に参加したりもする。
つまり、同じ「ビジネスチャットツール」だが、導入することで促進されるコミュニケーションの形が違う。どちらも無料プランがあるし、棲み分けができるので、プロジェクトの性質によって使い分けるのがよさそう。
例えば営業と開発で使うとしたら、
営業と開発それぞれの中で議論し、後で結論だけ部署間の議論へエスカレーションするのがTeams。
営業の会話に、急に開発が「それならこういう提案ができる」などと割り込んでくるのがSlack。
実例
自分が関わっている開発では、次の要求からSlackを主体に使っている。
- 開発ラインごとに縦割りではなく、ラインを超えた情報共有やアドバイスが出るようなチームにしたい
- それほど大きくないチームなので、リーダーなど全体を見る立場の人は、全部の会話を流し読みしておきたい(メンションされたときだけ読むのではなく)
逆に、チームごとにきちんと情報統制をしたかったり、上下関係がしっかりしていてエスカレーションという形で相談を受け取りたいなら、Teamsの方が向いている。
それぞれの特徴
それぞれの特徴を、思いつくままいくつかの比較ポイントでまとめてみる。
- Teamsは、「他のチーム」に話しかけるハードルが高い。自分が所属するチームの中での会話になる。
Slackは、「話題を作って、話しかけたいメンバーを呼ぶ」という使い方になるので、チームに話しかけるという考え方が薄い。
Teamsは、全員と会話できるチャンネルが無い。まずチームありき。
Slackは、全員所属するチャンネルがまず最初に作られる。
Teamsは、自分の関わる会話だけを読むという使い方になりやすい。チャンネル内にさらに「会話」があり、会話単位で通知有無が決まっているので。
Slackは、すべての会話に目を通す使い方になりやすい。チャンネル単位で通知が来るし、「次の未読の会話へジャンプ」というショートカットキーがある。
Teamsは検索機能が大雑把で、チャンネル内検索もない。どちらかというと、検索ではなく会話全体を保存して読み直す使い方になる。
Slackは検索機能が強く、チャンネル内や発言者などでの絞り込みもできるので、雑多な会話からキーワードを拾って読み直す使い方になる。
Teamsは会話上でできる操作が少なく、Office365の他のアプリを追加してそれを共有する形になる。例えばTODOを管理するなら、Plannerなどをタブで追加してチーム内で共有する。
- Slackは会話上でできる操作が多く、会話に対して操作したりコマンドを打つ形になる。例えばTODOを管理するなら、会話自体をそのままピン止めしたりリマインドしたりできる。bot系が目立ち、チームで共有するより個人で操作するシーンが多い。
このような特徴から、Teamsは事前に決めたチーム内での強い情報共有(情報統制でもある)を狙った作りで、Slackは全てを共有した上で話題ごとに即席のチームがあちこちで生じる使い方を狙ったツールだと考えられる。
※どの指摘もそうだが、TeamsをSlackっぽく運用することもできるし、その逆もできる。これは、どの運用をやりやすいようにデザインされたツールなのか、という話。